はじめに
秋深まり、冷たい風が頬を撫でる季節になると、街角に「石焼きいも」「やきいも」ののぼりがひらひらと揺れ始めます。甘くてあたたかいその香りに惹かれ、つい手が伸びてしまう──そんな季節の味覚の王者とも言える「やきいも」。でも、ひとくち食べる前にひとつ、あなたに問いかけたいことがあります。
しっとり派?それともホクホク派?
この問いこそ、まさに“秋ならではの選択”なのです。今回は、その選択の背景にある品種・焼き方・歴史・文化、そしてどちらを選んでも満たされる魅力をたっぷりお届けします。
「ホクホク派」と「しっとり・ねっとり派」、何が違うの?
やきいも好きの中で語られる定番の話題。 ホクホク派 と ねっとり(しっとり)派。この2つの食感の違いには、実は「さつまいもの品種」「焼き方・調理方法」「水分・糖度」などが深く関わっています。
・ホクホク派の特徴
「2つに割ると粉をふき、さらっとしている感触」──そんな説明がされることがあります。 weathernews.jp+2macaro-ni.jp+2
代表品種として、【紅あずま】や【高系14号】、【鳴門金時】などが挙げられます。 weathernews.jp+1
このタイプは、加熱しても水分がほどよく抜け、軽やかな口当たり。「栗を思わせるホクホク感」「焼き芋らしい焼き芋」という印象があります。
・しっとり/ねっとり派の特徴
一方、最近人気を集めているのが「ねっとり系」。水分が多めでクリーミー、口に含むと「とろっ」とした滑らかさがあるタイプ。代表品種としては、【安納芋】、【紅はるか】、【シルクスイート】などが挙げられています。 macaro-ni.jp+1
このタイプは糖度も高く、「芋ようかん」「スイートポテト」を思わせる甘みと滑らか食感が魅力です。
・どうして違うの?
品種の違い:さつまいもの品種によって、水分含有量・でんぷん質・糖化性などが異なります。たとえば、ホクホク派の品種はでんぷんがしっかりしていて、焼くと崩れやすくサラッとした質感になります。 ポケットマルシェ+1
火の入れ方・時間・環境:低温でじっくり時間をかけると、さつまいもの中のでんぷんが糖に変わり、甘みが出やすくなります。逆に高温・短時間で焼くと外側が固くなって内部の水分が外に出て、ホクホク感が生まれる場合もあります。 macaro-ni.jp
熟成・貯蔵状態:収穫直後よりも、ある程度寝かせた芋のほうが糖度が増してねっとり傾向になるという話も。 tennenseikatsu.jp
秋に「やきいも」が特別になるワケ
やきいもが“秋の味覚”として特別視されるのには、季節・文化・体験が絡んでいます。
収穫の季節とリンク
さつまいもは一般的に秋に収穫を迎え、その甘みが増す頃が焼き芋にぴったり。秋の風に温かい芋を手に歩くのは、日本の秋風情そのものです。寒暖の差で甘み増す
秋の冷たい夜風、そして昼の日差しのギャップが、芋の中の糖化を促すとも言われます。土の中で育った芋が、季節の移ろいを経て一番美味しくなる瞬間を迎えるのがこの季節。街の石焼き芋屋・のぼり・香りの演出
夕暮れ時、冷たい風とともに漂ってくる焼き芋の香り。街角の焼き芋屋台が、秋の色彩と音、香りを演出してくれます。体も心もあたためる体験
秋の夜長、読書のお供や散歩の途中でホクホクの焼き芋をかじる時間。温かさと甘さが、季節の終わりと冬の入口を感じさせてくれます。
しっとり派・ホクホク派、それぞれの魅力を味わう
それでは、どちらの派にもそれぞれの良さがありますので、楽しみ方を紹介しましょう。
🌟 ホクホク派を愛するなら…
品種:紅あずま・高系14号・鳴門金時など。
食感・味わい:割るとさらっと粉がふくような質感。軽い甘みでどこか懐かしい“おじいちゃんおばあちゃんの焼き芋”の印象。
シーン:秋の散歩中、風が冷たい夕暮れに。手でほぐしながらいただく一口が染み入る。
選び方のヒント:皮にひびが入っていたり、割ったときに繊維がほぐれていたりするもの。加熱処理も“外側を少し焦がすように焼いて中身をふんわりさせる”と、ホクホク感が出やすい。 tennenseikatsu.jp
🌟 しっとり/ねっとり派を楽しむなら…
品種:安納芋・紅はるか・シルクスイートなど。
食感・味わい:スプーンで掬えるほどトロッとしていて、濃厚な甘み。まるでスイーツ。
シーン:秋の夜、家のソファに腰掛けて。ラップを少しずらして温めた焼き芋を“デザート代わり”に。
選び方のヒント:芋自体が糖度が高く、焼きあがって割ったときに蜜が見えるもの。低温でじっくり焼いて“水分を飛ばしすぎず”仕上げると仕上がり抜群。 tennenseikatsu.jp+1
私のおすすめ体験:秋の「やきいもタイム」
では、少し私のおすすめシーンを提案します。
午後の陽だまり散歩と焼き芋屋
10月末、もう日は傾き始めていて、空気もひんやり。石畳の小道や公園のベンチで、焼き芋を手に。ホクホク派なら「割れる皮の中からふわっと湯気」、ねっとり派なら「蜜が半分ほど見える断面」。そのまま一口、「うん、秋だな」と感じる瞬間。読書のお供に“ねっとり”夜の焼き芋
夜、窓を少し開けて秋の香りを入れつつ、クッションに寄りかかって。ねっとり仕上がった焼き芋をスプーンで掬い、小さな皿でゆっくりと味わう。甘みが舌を染めて、気がつけば季節の終わりを予感する。家族みんなで“やきいも会”
庭や公園のベンチに腰かけて。ホクホク派の芋と、しっとり派の芋、それぞれ用意して「どっち派?」と話しながら分け合う。子どもは皮をちぎってちょっとずつ交換。冬に向けて心もほっこり。
秋の味覚をもっと楽しむためのヒント
買う・選ぶポイント:芋の「ツル」がしっかりしているもの、皮にひびが入っていると割れやすくて焼き芋向きという話も。製造者のラベルに「焼き芋向け」などの記載がある場合は参考に。
焼き方アレンジ:ホクホク派を狙うならアルミホイルもしくは新聞+アルミでくるんでじっくり焼く、ねっとり派ならぬらしたペーパータオルで包んで焼くと水分が残りやすくおすすめ。 tennenseikatsu.jp+1
温め直しテク:電子レンジ600Wでラップなし2分半~という方法はホクホク系に有効、ねっとり系ならトースターで表面を軽く炙るとより滑らかさが際立ちます。 デリッシュキッチン
ペアリング:お茶(ほうじ茶・黒豆茶)やミルクとも相性◎。ねっとりタイプには濃いめのコーヒーも合います。
どちらが“正解”?結論は「どちらも」
「しっとりかホクホクか」は、どちらが“正解”というものではありません。好み、体調、その日の気分、時間帯、シーンによって変わるものであり、秋という“時間限定”の中で、自分なりの味わい方を見つけることこそが楽しいのです。
秋の冷えた夜に「ホクホク」な芋で体を温めるも良し。ゆるやかな夕暮れに「ねっとり」な芋をスプーンですくって楽しむも良し。あるいは、両方を用意して食べ比べをしてみるのも贅沢な秋の味覚体験です。
まとめ:やきいもに込められた「秋の豊かさ」
やきいもはただの間食ではありません。
それは、土の中で育ち、秋風を受け、収穫され、焼かれ、あなたの手に渡る。季節・時間・手間が重なった「ひとくち」にこそ、秋の深まりが詰まっているのです。
ホクホク?しっとり?
どちらを選んでも、その一口が、秋の彩りと味覚と時間をあなたに届けてくれます。
さあ、今年の秋、あなたはどちらのやきいもを選びますか?それとも両派で食べ比べますか?
やきいもとともに、秋の味覚を存分に味わいましょう。

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